従業員承継

自社の役員や従業員が承継する方法。
縁故ではなく、経営者としての能力を見て承継できる点がメリットである。 一方、親族株主との調整や株式・事業資産移転のための資金確保など、乗り越えるべき課題もある。

従業員の熱意とやる気が、廃業の危機から会社を救う!

オーナー社長は80歳近くと高齢であるが親族等の後継者候補はおらず、他方で従業員は事業を続ける士気が高く、社長自身も従業員への事業承継の必要性は認識していた。ただし、大きなネックとなったのは、金融機関からの借入金が会社の収益力に比して過大であり、これを返済しながら事業を続けるのは酷であること、社長が金融機関の借入金の連帯保証をしていたが、家族と居住する無担保の自宅不動産(妻と2分の1ずつで共有していた)を所有していたことであった。

事業承継の進め方に関しては、オーナー社長、幹部社員、弁護士が鋭意協議を重ね、とりあえずは幹部社員が出資する新会社に事業を承継させた。その直後に弁護士が旧会社と社長の代理人として全金融機関(信用保証協会がメイン)と鋭意協議を重ね、結果的に全金融機関の同意を得て、新会社が対金融機関負債を収益力に見合った範囲で一部を承継し、社長が旧会社の資産を換価することを条件に、金融機関に対する旧会社の借入債務とオーナー社長の連帯保証債務の免除を受けることができた。債務免除にあたっては、近時新たな運用が始まり案件が増え始めていることで注目を集めている特定調停手続を活用した。また、「経営者保証に関するガイドライン」の適用を受けて、社長に自宅不動産の共有持分を残すこともできた。

事業承継後の新会社は、幹部社員である経営者の下、経営改善を着々と進め、1期目から営業黒字を上げて業績は堅調である。

(中小企業庁「事業承継ガイドライン」P62-63より)