事業沿革 元々はみかん、伊予柑といった柑橘類を生産する兼業農家であった。父親が早く亡くなったため、長男である山内氏が生産を引き継いだが、周辺では年々、耕作放棄農地が目立つようになり、地域の活力は低下していった。 そのような中、売りに出た1.2ヘクタールの農地を購入し、いちご、ぶどう、メロン、トマトを作るべくハウスを建て、生産規模を拡大することにした。しかし、当時は丹原町役場に勤務していたため、農業に掛ける労力に限界があり、いちご、ぶどうを中心とした生産となった。その後、50歳を機に農業での自立化を目指し役所を退職、観光農園として専業農家への転換を図った。 事業コンセプト スーパーを始めとする小売店には様々な青果物が並び、年間を通じて品揃えは充実している。しかし、かつては身近な存在であった農業が消費者から離れ、農産品の育つプロセスがわからない人が増えている状況に危惧感を持つようになった。農業者は生産するだけではなく、農産 品の背景となるものを消費者に知ってもらう役割を担うべきではないか、そのために何ができるのかを熟考した。 その答えが観光農園であり、「人が集まり、農業を知り、人と農業と食べ物のつながりを感じることができる農園づくり」を事業コンセプトとし、平成8年3月に事業を 開始した。 |
(農園内のブルーベリー) (山羊も大切な家族) |
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~ 観光農園と地域農業者との連携体で
新しい農業への挑戦 ~
栽培の基本は低農薬で、安全安心な商品提供を通じた顧客との信頼づくりに主眼を置いている。しかし、農薬をやらないとどうなるかを実際の商品を使って正直に説明し、ある程度の農薬が必要となることを理解してもらっている。逆にそれが顧客との関係強化につながっている。 |
あたご柿、いちご、きゅうり、バラなどの産地として愛媛県でも知名度の高い西条市丹原町。しかし、近年は消費者の果物離れ、他産地間の競争激化、生産者の高齢化、後継者難等の問題を抱え、農園の荒廃化も進んでいる。 そのような状況下、観光農園と地域農業者との連携体で、新しい農業への挑戦を続けているのが四季彩農園である。その内容とIT化への取り組みについて、代表者の山内雅明氏にお話をお伺いした。 |
事業内容
メインの事業は果物狩りで、収穫スケジュールは、いちご(3月~5月中旬)、もも(7月下旬)、ブルーベリー(8月上旬~9月)、ぶどう(8月中旬~9月下旬)、いちじく(9月上旬~10月中旬)となっている。また、園内で採れる果物を使ったコンフィチュール注)やドライイチジク、山羊の乳を使ったアイスクリームといった加工品も試作している。 今後強化していきたい事業は、ぶどう房づくり、剪定、ブルーベリー収穫といった農園の作業体験、園内に設置した石窯でのピザつくり体験等の体験学習プログラムで、年間を通じたメニューづくりの真っ最中である。また、食事の場としてのカフェテラスを作ることも計画している。 注)果物のフレッシュ感を大事にした特別なジャム |
(いちじくのコンフィチュール) |
もぎたて倶楽部での連携 12年前、農業での自立化・地域活性化に前向きな地元農家8軒が集まり結成したのが、「もぎたて倶楽部」である。それぞれが特徴のある商品を持っており、集合体としての観光農園の魅力度アップや小学生の宿泊体験といった協力関係ができている。 また、集客のための販売促進策や、地域活性化につながる農業の在り方などを本音で語り合う定例会を持ち、着実に売上げは伸びている。さらに、愛媛県や西条市、西条産業情報支援センター等からの支援もあり、当倶楽部としての活動はより活発化している。 |
IT化への取組 四季彩農園としてのホームページ(HP)を開設し、事業内容をPRしている。また、顧客情報をデータベース化し、きめ細かな販売促進策としての活用を進めている。 一方、もぎたて倶楽部についても自社HPで紹介しているが、当倶楽部ではパソコンスキルを活かし、ネットショップを立ち上げることになっている。サイトで会員の農産品をネット上で販売できることで、販売力の強化、遊休農地の活用、地域全体の活性化といった好循環の流れをつくっていく考えである。 |
(お話をお伺いした山内氏と家族) |
取材者のコメント 近年、多発する食の問題、農産品の自給率の低下、地域経済の疲弊等の問題を受け、農業が見直されている。そのような流れを12~3年前から先取りした四季彩農園ともぎたて倶楽部の取り組みは、農業の自立化として学ぶことの多い好事例といえよう。今後は8軒の先進生産者の輪が地域全体に拡がり、生き生きとした地域社会の再生につながることを期待したい。四季彩農園ともぎたて倶楽部のみなさんが明るく前向きな姿勢でますます活躍されることをご祈念申し上げます。 (特別研究員 上田 保) |
企業名 | 四季彩農園 |
代表者 | 山内 雅明 |
所在地 | 愛媛県西条市丹原町高松2008 |
電話 | 0898-68-7936 |
農園定休日 | 月曜、木曜 予約制 |
HP | http://www.dokidoki.ne.jp/home2/masaa/ |
財団法人えひめ産業振興財団 〒791-1101 愛媛県松山市久米窪田町337-1 TEL 089-960-1100 FAX 089-960-1105 http://www.ehime-iinet.or.jp |
四季彩農園