県内製造業IT化実態調査報告書(2004年3月)


5.インターネットの活用状況について


(1) インターネットの接続状況

 A.業種別
 コンピュータを導入している事業所に対し、インターネットの接続状況を尋ねたところ、「接続している」が75.2%、「接続していない」が24.8%となっており、全体の約4分の3がインターネットを利用している。
 業種別にみてみると、コンピュータの導入状況と同様に「電気機械器具製造業」で、「接続している」が100%となっており、「木材・木製品製造業(家具を除く)」が一番、接続率が低く(40.0%)なっている(図3-1)。
図3-1


 B.従業員数別

 従業員数別に見てみると、100人以上の事業所では全て接続していることからも、コンピュータの導入状況と同様に従業員数が多くなるにつれて接続している割合が高くなっている。(図3-2)。
 ここでは、従業員数が多いほど、その事業所の事業規模も大きく、また事業所の分散も考えられることから、インターネット活用による情報収集・発信、企業内外との情報共有化等のために接続率が高くなっているものと考えられる。
図3-2


 C.地区別
 地区別に見てみると、コンピュータの導入状況と同様の傾向を示しており、東・中予と比較すると「南予地区」におけるインターネットの接続が進んでいないことがわかる(図3-3)。
図3-3


 D.調達先別
 調達先の地域別にみてみると、調達先が「県内10割」である事業所の導入率が62.1%、県外にも調達先をもつ事業所の導入率が80.5%となっており、コンピュータの導入状況と同様に、より遠距離の取引にはインターネット利用による情報共有化等が必要とされていることがうかがえる(図3-4)。
図3-4

 調達先の企業数別でみてみると、コンピュータの導入状況と同様に、調達先企業数に比例して接続率が高くなっており、調達先が多いほど業務効率化や情報共有化等のため、インターネットの利用が進んでいるものと考えられる(図3-5)。
図3-5


 E.販売先別
 販売先の地域別にみてみると、販売先が「県内10割」である事業所の接続率が62.6%、県外に調達先をもつ事業所の導入率が82.8%となっており、遠距離の取引にはインターネットの利用が必要とされていることがうかがえる(図3-6)。
図3-6

 販売先の企業数別でみてみると、インターネットを接続している事業所は、販売先企業数が「51社以上」で90.5%となっている。それ以外では、調達先企業数が「1社」の事業所が70.0%、「2〜5社」が62.5%、「6〜10社」が73.0%など、コンピュータの導入状況のように販売先企業数が多いほど接続している事業所が多くなるとは必ずしもいえない(図3-7)。
図3-7


 F.販売対象別
 販売対象別にみてみると、コンピュータの導入状況と同様に、「対消費者」のみの事業所よりも「対企業」のみの事業所の方がインターネットの接続が進んでいることから、取引先と情報共有するためなどからインターネットの活用が進んでいると考えられる(図3-8)。
図3-8


(2) インターネットを活用したIT化の状況

 A.インターネットの利用目的(現在)
 コンピュータを導入しており、インターネットに接続している事業所に対し、その利用目的を尋ねたところ、最も多かったのは「情報収集」が81.5%であった。2位は「電子メール」で75.4%となっており、この2項目が突出している。3位以降は、「ホームページを開設しての情報発信」が42.0%、「注文、受注、納品、請求等の管理」が39.2%となっている(図3-9)。
図3-9


 B.インターネットの利用目的(今後、新たに取り組む予定)
 前問A以外に今後、インターネットをどのような分野で新たに利用したいと考えているかを尋ねたところ、「ホームページを開設しての情報発信」が39.7%で最も多く、3位には「注文、受注、納品、請求等の管理」が32.3%となっており、「情報の収集」からさらに進んで「取引管理」へ活用していこうという意欲がうかがえる。
 また、最近注目を集めている「IP電話」が2位となっている。現在はわずか3.3%の利用にすぎないが(図3-9)、今後は32.6%が新たに取り組みたいとするなど大きく増加しており、「IP電話」を活用して通信コスト削減を図ろうとしていることがうかがえる(図3-10)。
図3-10


 C.インターネットを利用したIT化の成果
 インターネットを利用したIT化の成果を尋ねたところ、「期待以上の成果を上げている」が2.6%、「期待どおりの成果を上げている」が12.7%、「まあまあ成果を上げている」が49.5%となっており、合わせて64.8%の事業所で何らかの成果が上がっているとしている。(図3-11)。
 一方、「あまり成果を上げていない」は34.9%であった。なお、「逆効果である」は、0.3%であった。
図3-11


 D.インターネットを利用したIT化の具体的な成果
 前問Cで「期待以上の成果を上げている」、「期待どおりの成果を上げている」、「まあまあ成果を上げている」と答えた事業所に、その具体的な成果を尋ねたところ、「情報収集能力が強化された」が75.5%と圧倒的に多かった。次いで「顧客サービスが向上した」が30.5%、「取引先の信頼が獲得できた」と「自社のイメージがアップした」が23.6%となっている(図3-12)。
図3-12


 E.インターネットの利用が成果を上げていない原因
 前問Cで「あまり成果を上げていない」、「逆効果である」と答えた事業所に、その原因を尋ねたところ、「思ったよりインターネットを利用する機会が少ない」が63.6%と最も多く、次いで「対応できる人材が不足し、十分活用されていない」が42.4%となっている(図3-13)。
 また、「その他」の中には、「自社のホームページにアクセスする人が少ない」といった意見もあることから、魅力あるホームページの作成方法やアクセス件数を増加させるための技術支援が必要であると思われる。
図3-13


(3) インターネットを利用していない事業所の状況

 A.インターネットに接続していない理由
 コンピュータは導入しているが、インターネットに接続していない事業所に対し、その理由を尋ねたところ、「導入効果がはっきりとしない」が56.5%と最も多く、次いで「扱える人材がいない」が24.1%、「導入に時間や経費がかかる」が22.2%となっている(図3-14)。
 また、「その他」の中には、「今のところ必要ない」や「業務に支障がない」など、今後も接続する意思がないとの意見もあった。一方、「必要だと感じれば接続する」や「接続する予定」など、インターネット接続を検討する事業所もみられる。
図3-14


 B.今後、インターネットに接続する予定(未接続の事業所のみ)
 現在、インターネットに接続していない事業所に対し、今後、インターネットに接続する予定があるかを尋ねたところ、「ある」が17.7%、「検討中」が30.1%、「ない」が52.2%となっている。
 接続していない事業所の約半数が、今後もインターネットに接続する予定が「ない」と答えていることからも、インターネットへの接続と未接続の二極分化が定着しつつあるものとうかがえる(図3-15)。
図3-15



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